昨日はお忙しいところご来店いただきありがとうございました。
まず最初のサン‐ロック白 2009年です。あのラファージュさんの新ドメーヌです。始めは氷で10分ほど冷やしました。
『飲みやすいね。でも南フランスっぽくないですね。』
『軽くてガンガンいけそう(笑)。』
でもしばらく経って温度が上がると…。
『あれ?軽いけど軽くない?』
『飲みやすいけど、軽くないよね?重い訳じゃないんだけど…』
私曰く『そーなんです。実はかなり酸があります。ですから基本的には緻密なワインです。ただ温度が低いと隠れてしまいます。ですからワインの数が多い試飲会で、冷やして供出されると素通りしてしまいます(笑)。』
『梨やポワレみたいな香り!こりゃ南フランスっぽくないね(笑)。ブラインドでやったら北のワインって答えちゃうね(笑)。』
『そうそうロワールとか』
私曰く『このワイン収穫して瓶詰は年内の12月にしてしまいます。途中空気に触れないようかなり配慮されるようです。全く酸化しないでフレッシュなまま瓶詰することを考えたようです。ですから抜栓後時間の経過とともにだんだん重くなって行きます(笑)。新たな試みです。』
『よく白ワインはスキンコンタクトを長くしたり、シュール・リーしたり、長く果皮と接触させて厚みをだす方法が一般的だと聞きますが、このワインは発想が真逆なんですね?』
私曰く『そのようです。果実の濃さと良さに自信があるのでしょうね。』
さすがラファージュ!
そしてつぎのロゼです。
『甘くて美味しい(笑)!でも甘ったるくない上品な味。』
『口当たりは軽いけど、口の中で広がるね。』
『香りは赤ワインだけど、舌ざわりは白ワインじゃない?』
私曰く『そーなんです。シラーの強いタンニンを除いて、果実味だけを抽出したみたいな味です(笑)。こんな味わいは経験したことがありません。最初に口の中に広がる甘さはグリセリンでそのあと舌の脇から感じる甘酸っぱさは酸からくる甘さです。構成がしっかりしてます。』
『柔らかくて、優しくて、ベリーの果実が綺麗ですよね。でもしっかりしてるから料理に幅広く合いそうですね。』
『こりゃ旨い!』
『シラーのイメージが変わりました(笑)。』
ちなみに今回の試飲会のトップセラーとなりました。
そして赤です。まずはサン‐ロックのスタンダードキュヴェです。
『濃くて美味しい!』
『うーん。シラー独特の荒さがない!』
私曰く『この赤も白、ロゼ同様にフレッシュネスを生かした造りをしています。収穫の翌1月に瓶詰しており、木樽などは一切使いません。でも果実の良さと強さが勝り、まだ閉じています(笑)。12時に抜栓しておきましたが、なかなか開きませんね。』
ベリーのらしい香りが出たのは、7時頃になってからでした。しかも12時にグラスに注いでおいたワインです。デキャンターしておいても7時間かかりました。スタンダードクラスでこのパワーは出色です。ミクロ・オキシダシオンしてないんですかね?
さてサン‐ロックの上級キュヴェ『シメール』2008年赤です。
『うわっ!すんごい!』
『これは凄い。全てが圧倒的ですね。底知れないね。』
私曰く『このワイン、新樽発酵や木樽熟成していますが、樽の風味がほとんどしません。それを覆い隠すタンニンや密度があります。』
『たしかに樽香がしない!相当なモンだね(笑)。でも果実味は凄いけどハッキリしないよね。まだまだ時間がかかりそうだね。』
『奥になんか居そう(笑)。』
『これってセパージュは何ですか?シラーのようでそうではない(笑)?』
私曰く『樹齢100年ほどのグルナッシュ・ノアールがメインで、あとはシラーが30%それとカリニャンですか。クラシックなスタイルです。ドメーヌ・ラファージュのキュヴェ・レアやニコラよりも閉じた感じがしますから、酸ののりがサン‐ロックの方が良いのかもしれません。ドメーヌ・ラファージュより内陸部に20kmほど入りますから、その分標高も高くなり寒暖差が増すことが影響してるようです。』
『それがテロワールの影響なんですか?』
私曰く『そうとしか理解できません。それとサン‐ロックは地球環境に配慮した農法で認定をとったようです。詳しくはまだ解りませんが、葡萄だけではなく様々な植物を植えて生態系に配慮した自給自足が出来るような、循環農法のようです。』
『昔の農村のスタイルですね。今、フランス政府はそんな農業に補助金を出してるようですよ。』
さすが事情通のIさん。
ラファージュさんの意図がちょっと伺えたような気がしました(笑)。
さて最期はボルドー蔵出しのオールド・ヴィンテージです。
シャトー・ギヨン・ナルドー1996年 赤 コート・ド・フラン
『切れがあって伸びやかだね。でもボルドーらしくない?やっぱりアペラシオンの特徴かな?』
『これってセパージュはなんですか?』
私曰く『メルロが80%であとカベルネとフランが10%ずつです。メルロがボルドーらしいプラムの味わいじゃなく、ベリーの香りがします。ベルジュラックに近い感じです。』
『あー、ベルジュラックに近いもんね。』
伸びやかで鋭角的ではありますが、広がりのある美しさはあまり経験したことのない味わいですね。
好みの別れるところかもしれません。ただこのワインに合う料理とならば、きっと好きになるはず。
そしてメドックのブルジョワ級シャトー・ラ・ヴァリエール1995年です。
『革やら土やら古酒のニュアンスが凄いね。こりゃチーズを食べながら飲みたいね。』
『ボリューム感もかなりあるね。やっぱり1995年って良い年なんだ。』
私曰く『さっきのナルドーは樽熟成の後大きなタンクでずっと熟成させたものを瓶詰出荷していますが、このヴァリエールは樽熟成後に瓶詰してそのままセラーで熟成していました。このため瓶内熟成が長いヴァリエールは、革や土といった還元臭がでます。』
『でもこのワイン若さがまだまだあるみたい。だんだん香りが開いてくるよ。』
『落ち着いてくると、強さが出てくる。じつはかなりのフルボディーのワインなんだ!』
『こりゃかなりのもんだ(笑)。王道をいってるね。』
ボルドー好きはやはりヴァリエールに心奪われるようです(笑)。
昨日はどうもありがとうございました。
Written on 2010 11 29
試飲会レポート
Nov 29, 2010 by toshiaki |ここを↓クリックして頂けると励みになります。ブログランキング参加中。ご協力お願いします。
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