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昨日一昨日とマスキュー試飲会にお越しいただきありがとうございました。
今回は怒涛の赤ワイン5連発(笑)。季節の移ろいを感じていただけましたか(笑)?
まずは今回の試飲会唯一の白からです(笑)。
◯ソーヴィニヨン・グリ 2013年 ドメーヌ・デュ・コロンビエ フランス ロワール 白 V.D.P.デュ・ソーヴィニヨン・グリ 750ml 1823円税込み
「マスキューさん!ソーヴィニヨン・グリなんて聞いたことありませんよ(笑)。変な品種探しましたね(笑)」
「ソムリエ協会の教本にはソーヴィニヨン・グリは載っていますが、どんなものかは知らないですよ(笑)。」
家内「ソーヴィニヨン・ブラン種の変異したもののようです。果皮がピンク色。」
「(写真を見ながら)ホントだ。ピンク色。ソーヴィニヨン・ブラン種って普通はグリーンですよね。グリ色ってことなんですね?」
家内「日本語訳だと灰色と訳されることが多いようですが、色のちょっと濃い桃色が近いような気がします。」
「そうそう、扁平に潰れた形の桃の色に近いよね!」
良くご存知で!
のっけから白ワインの品種の色で大盛り上がりです(笑)。
「味も桃系の味がする!ソーヴィニヨン・ブランっぽくない。凄く厚みもある。」
私「このワインはロワールの下流のナント地区で造られています。ミュスカデの産地で有名なところです。」
「でも、ミュスカデみたいに水っぽくないよ(笑)。凄く強いですよ。」
私「そーなんです。かなり真面目に尽力してますよね。」
家内「面白いのが、温度が上がると味が変わります。」
しばしグラスを手で暖め試飲再開!
「あれ?ハチミツの香りしますね。」
「マスカットだぁ!」
私「メロンっぽさもあるかな。」
「ゲヴュルツトラミネールに間違えそう(笑)。とにかく香り方が半端ない。」
「こんなスタイルのワインは初めて!ソーヴィニヨン・ブランとは似ても似つかない。マスキューさん!なんでですか?」
私「解りません(笑)。不思議ですよね。香りの分量と幅が広いですよね。従来のパターンに当てはまらないところ斬新ですよね(笑)。」
「ところでこの白ワインはどんな食べ物に合わせますか?」
家内「キャベツと豚肉を重ね煮したような鍋なんか合いそうですよね。キャベツの芯が甘~くなって、豚肉の脂がとけて…。考えただけで涎が(笑)。」
「ベースのタレは?」
家内「味噌ダレなんか鉄板かな(笑)。」
「和食っぽいテイストに合いそうですね。」
「単純に焼いたベーコンや生ハムなんかも行けそうですよ(笑)。」
やはり季節は秋
食欲とワイン欲は比例することが実感されました(笑)。
赤ワインの一番手はボルドーA.C.の赤。なかなかクラシックかと(笑)。
●シャトー・バルボ・リトリー 2012年 フランス ボルドーA.C.赤 750ml 1064円税込み
「マスキューさん!昔懐かしい味わいですよね。今のボルドーA.C.にない野趣があるよね(笑)。」
家内「アントゥル・ドゥ・メールあたりの優しくて飲みやすいボルドーって飽きるんですよね(笑)。」
私「私も家内も好きなスタイルです(笑)。タンニンが強く墨汁っぽい(笑)。」
「ベルジュラックの近くだからそれっぽいですよね(笑)。」
「ボルドーA.C.のワインってそんなにバリエーションがあるんですか?」
私「ないようであります(笑)。一時期細分化が進んだのですが、細かなアペラシオンを名乗るよりボルドーを名乗った方が売りやすいのでボルドー名表記で売る生産者が増えました(笑)。」
「マスキューさん、これってメルロが主体ですか?」
私「はい。正解です。さすが!メルロが50%くらい入っています。でも冷涼な感じがしますよね。」
「緩いメルロじゃないです(笑)。あと、タンニンが強く、乳酸を感じます。木樽熟成していますよね?」
私「実は樽熟成していません。私も最初間違えました(笑)。」
家内「強いタンニンは葡萄果由来。乳酸のニュアンスはマロラクティック醗酵の影響です。時間が経つと消えていきます。」
私「明日飲むと柔らかさまろみが出て、別物に感じますよ(笑)。」
「テイスティングで区別つきますか?」
私「果実由来のタンニンは舌の上で感じられます。木樽由来のタンニンは舌の脇や歯茎を刺激します。あと木樽由来のタンニンは時間が経っても消えません。」
「さすがソムリエ(笑)。」
私「ありがとうございます(笑)。でもほとんどのソムリエさんは知りませんよ(笑)。皆さんタンニンを混同しています。」
あと、翌日このワインを確認に再度ご来店いただいたワイン・ファンの方。
「えー!昨日飲んだのと全く別物ですね。柔らかくて深みがある。こんなに美味しくなるんだ!」
私「地味なワインなんですけど、実に美味しいかと。デイリーユースには最適かと?」
家内「ついでにマスキュー最安値のボルドーです(笑)。」
ただ、今風のワインみたいに飲みやすさが最初から出ませんから、強いタンニンに圧倒されて敬遠される方もおりました。念のため。
さて、本日のメインテーマの一つ クラシックスパニッシュとモダンスパニッシュの対決です(笑)。
●エルミータ・デ・サン・ロレンソ グラン・レゼルバ アルティーガ・フステル 2004年 スベイン 赤 セントロ マンチュエラD.O.750ml 1157円税込み
「おっ。懐かしい味(笑)。スペインらしくてイイなこれ(笑)。」
「収穫してから10年経つんですか。スローフードの典型ですね(笑)。でも異常に安い(笑)。値段から味わいは期待できませんね(笑)。料理とマリアージュ考えないで飲めるワインだな(笑)。」
「うわっ!香りが素晴らしい。ブラムの香りが強くて綺麗ですね。」
「これってテンプラリーニョですか?」
私「実はガルナッチャとカベルネ・ソーヴィニヨンなんですよ。まず解らないですよね(笑)。」
「プラムの香りがガルナッチャなんだな。でもカベルネが入っているとは!」
家内「近くのリオハなんかだとカベルネを混ぜたりしますよね。」
「そう言えばボトルを巻いている金網、リオハワインに良く見ますよね?」
「なんで金網巻くんですか?」
家内「偽造防止らしいです。金網を切らないと抜栓出来ないようになっているようです。」
「それにしても香りがスゴいね。価格なりじゃないよね。」
「海苔みたいな香りがしますよね。何なんですか(笑)?」
私「鋭い!いわゆる黒トリュフの香りです。鞣し革みたいなニュアンスもあります。熟成したグレートワインに良く出ます。」
「メインのプラムの香りも過熟したニュアンスもあるし、ブラムだけとってもかなり複雑。」
私「時間が経つと梅干しのニュアンスも出てきます(笑)。時間の経過で熟すみたいです(笑)。そんなバカな。」
「熟成したグレートワインが持つ要素がすべて見られます。安いワインなのですが(笑)。」
「マスキューさん、このワインは開けてからどのくらい持つんですか?」
私「今が一番良い状態ですから、一日二日で飲みきるのが良いです。」
家内「これ以上はないでしょうね。」
「逆にいうとこれが限界?」
私「うーん。難しいですね(笑)。ある意味そうなのですが、抜栓しないでセラーで熟成を続ければあと10年くらいはさらに熟成します。完全な古酒になりますが(笑)。マスキューのセラーに同じ規格の1991年があります。前に飲んだら、完全に古酒になっていました。綺麗に削ぎ落ちてました(笑)。」
「時間のスパンが違うんですね!」
私「左様かと(笑)。」
そしてモダンスパニッシュのトップランナーの登場です!
●クロス・ロヘン 2012年 ボデーガス・イ・ヴニェードス・ポンセ スペイン 赤 マンチュエラD.O.750ml 1435円税込み
「これ、飲みやすいですぅー(笑)!」
「噛めるような感じ(笑)。荒々しさがない。ヴィンテージは2012年。さっきのは2004年。???」
私「テクノロジーの成せる技です。地元スペイン人に売るというよりアメリカなどの消費者向けのワインです。いわばグローバルなワインですね。」
家内「地元の人はエルミタなんかを好んで飲むようです。」
「解りやすい!『すぐ美味しい~、凄く美味しい~。』ですね(笑)。これはありだな(笑)。」
「パーカーが90点とかつけりゃアメリカで大売れするんだな(笑)。実際アメリカ人は好きそうな味だよね(笑)。」
「でも、このワイン果実の種類が思い浮かばないんだよね?」
私「それはボバル種の品種特性です。」
「エルミタとはこの点明らかに違うよね。」
「でも、美味しいから許す(笑)。」
「マスキューさんは今風のアメリカナイズされたワイン嫌いですよね(笑)。でもなんでこのワインを扱うんですか?」
私「あ痛たたぁ~。よくご存知で(笑)!このクロス・ロヘンの完成度が高いからです。今風のモダンスパニッシュの中で一番折り合いが良いと思います。正直今の流行りですが、バランスの悪いワインがとても多いのです。デフォルメが強すぎるものが多いのです。」
「クロス・ロヘンはエルミタみたいにあと10年経つと熟成しますか?」
私「しません。直ぐに楽しむべきワインですし、直ぐに楽しめるワインでもあります。」
家内「一度目のピークがくるまでにエルミタは10年かけましたが、クロス・ロヘンは直ぐにピークに達していると言えば良いかも。」
年代差によって、好みの別れるところでもありました(笑)。
さて、次は王道を行くボルドーワインです(笑)。
●シャトー・ブリソン 2010年 カスティヨン コート・ド・ボルドーA.C.フランス ボルドー 赤 750ml 2247円 税込み
私「マスキューの定番ボルドーです。ようやく2010年が調子良くなってきました(笑)。」
「これってメルロですよね。凄く質感があって品も良い。浸れるなぁ(笑)。」
「旨いね。」
「右岸のメルロってみっちりしていて密度感があって良いよね(笑)。私は左岸より好きなんですよ(笑)。」
「このワインは綺麗だよね。」
「マスキューさん、このワインは到着して直ぐに飲んだ時はどうだったんですか?」
私「旨いには旨かったんですが、バランスが今一つでした。この夏を過ぎて良くなりました。」
「それって夏を過ぎると良くなるって、解っていたんですか?」
私「はい。経験上としか説明できませんが…。若くてもポテンシャルの高いワインは向上します。」
家内「なんとなく、これは良くなるって(笑)。」
「どんな風に熟成するか解るんですか?」
家内「いやいや。そこまでは。長い熟成とはちょっと違うかな?」
好みを越えた良さがあったかな(笑)?
さて、今年の問題作!
●クローズ・エルミタージュ キュヴェ レ・トロア・シェーヌ 2012ドメーヌ・エマニュエル・ダルノー フランス ローヌ 赤 750ml 3470円税込み
「旨味の塊!」
「セパージュは何ですか?」
私「シラー100%です。」
「飲みにくくはないんだけれど…。シラーの香りしませんよね?でも物凄いのは解る。」
「マスキューさん!エマニュエル・ダルノーはスタイル変わったんですか?いつものエルミタージュっぽくない。タンニンとか甘さが目立たない。」
私「そーなんですよ。あの濃密なジャムっぽさがありません。それより酸が異常に目立ちます。酸っぱい酸じゃなくて、口の中に入ると舌の脇からだーだー唾液が出る(笑)。」
「ホントだ!唾液が止まらない(笑)。こんな経験は初めてですよ!」
「ローヌっぽくないですよね。かと言ってどこだか解らない(笑)。」
家内「サン・ジョセフのワインで近い経験をしました。酸の強さにむせちゃったっけ(笑)。」
私「アルコール分は13%で収まっています。過熟させた様子もありません。」
「大きな解らないものが隠れている感じ。」
私「昨日開けてから、味わいはほとんど変わりません。」
「でも薔薇の香りが強いですよね。」
私「たしかに!でもシラーらしいベリーの香りがまだ出てきません。」
うーん。
解りません!
でも、独自の道を歩くエマニュエル・ダルノーです。何かありそうです!
ここから、私の妄想は全開(笑)!
私「エマニュエル・ダルノーはクローズ・エルミタージュの畑からエルミタージュ並みのワインを造って脚光を浴びました。でもそれではエルミタージュを越えることが出来ないことに気がついたのでは?エマニュエル・ダルノーにしか出来ないスタイルを目指しているのでは?」
今度彼に会えたらインタビューしなくては(笑)!
昨日一昨日とご来店ありがとうございました。
桝久商店 岡本利秋・昭子