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昨日、一昨日とご来店ありがとうございました!
今回は6本すべて南フランスのワインでした。
まずは白の新旧対決(笑)。ラファージュさんとコンダミン・ベルトランの白ワインを比べていただきます!
◯ノヴェラム シャルドネ 2013年 ドメーヌ・ラファージュ販売価格(税込): 1,527 円
◯バロン・デュ・モンテガード 白 2013年 シャトー・コンダミン・ベルトラン フランス I.G.P.ドック 750ml 販売価格1018円税込み
「マスキューさん!愛するラファージュのワインですね(笑)。」
「コンダミン・ベルトランも昔扱ってましたよね?」
私「前は『タンデム』ラベルでした。よく覚えてられますね(笑)。さすが!」
「うーん。ノヴェラム旨いですね。」
「たしかに、欠点ありませんよね。飲み易す過ぎて危険だなぁ(笑)。」
家内「前のノヴェラムはもう少し樽のニュアンスが強くてシャルドネらしい出来でした。今回はシャルドネらしさより、ひたすらバランスの良さが目立ちます(笑)。」
私「香りを嗅ぐとシャルドネらしくないのですが(笑)、味わうとシャルドネ(笑)。スタイルが変化してます。バランスが凄く良いですよね。」
「グレープフルーツの香りが強いですよね。ピールっぽさも後味に出てきてる」
「パーカー・ポイント92点は伊達じゃない(笑)。綺麗だよね。」
「余韻も綺麗だよね(笑)。」
私「アメリカ人の好むスタイルなんですが、樽に頼らないのがなかなか宜しいかと。」
さて、コンダミン・ベルトランの白は?
「これ、旨い!トロミがある!しかも安いですよね。」
「あんまりはっきりした香りじゃないけれど、香りが重い(笑)?」
「柑橘類のニュアンスはあるんだけどはっきり解らない。でもミッチリしてる(笑)。」
私「密度感ありますよね(笑)。」
「ノヴェラムと比べるとスタイルはまるっきり違いますよね?」
「ノヴェラムは都会的でモンテガードは田舎的(笑)?」
「モンテガードの田舎臭さは好きだな(笑)。」
「私は都会派だからノヴェラムかな(笑)。」
「同じ南フランスでもこんなに味わいのスタイルが違うんですね?」
私「モンテガードはソーヴィニヨン・ブランとルーサンヌを混醸しています。」
「別けて造らないんだ!」
「へぇー、だから飲んだときセパージュが解らないんだ(笑)!あと深みがありますよね?」
私「さすが!そのとうりです!」
「マスキューさん!ソーヴィニヨンブランとルーサンヌって収穫期が同じなんですか?」
私「基本的には違います。ただコンダミン・ベルトランの畑ではそれぞれの植わっている環境(恐らく標高)が違うために収穫期が重なるようです。ですからコンダミン・ベルトラン独特の特徴かと。長い歴史と経験の積み重ねを感じます。」
家内「それと比べるとラファージュさんはシステマティックにワインを造ります。葡萄園は120ヘクタールありますから、幾つかの区画のシャルドネを上手くブレンドすることによって解決します。あとヴィオニエの澱を入れたりして独自のスタイルを造ります。」
私「ラファージュさんのワインはちゃんと設計図があり、意図を上手く実現化していますね(笑)。コンダミン・ベルトランの方は『家ではこんなワインが出来る』みたいな(笑)、プリミィティブですね。」
「コンダミン・ベルトランは歴史あるんですね。」
家内「200年以上続く地元の名家のようです。ラファージュさんもたしか5代目ですから古いには古い。」
私「ラファージュさんは葡萄栽培農家から世界に羽ばたいています。アルゼンチンでもワイン造りに携わっています。自分のドメーヌの収穫期にはアルゼンチンから収穫人を連れてくるようです(笑)。」
「えっ!南半球だからかぁ。季節は逆だからですね(笑)。」
「グローバルなんですね。」
私「マスキューにも来てくださいました(笑)。」
「日本の農家じゃ考えられない!マーケティングやセールスまでやるんだ。凄いね。」
「マスキューさん!ラファージュってニコラス・ケイジに似てますよね(笑)。」
「あと、歳の割りに老けている(大爆笑)。」
「マスキューさん!ところでワインの値段はどうやって決まるんですか?物凄く高いワインはプレミアムがつくからある意味解るんですが。」
私「鋭い質問ですね(笑)。基本的にはその村のワインの相場に沿うものです。あと、例えば家族何人を養うために総額幾ら必要かによって、生産本数が逆算されます。食べていくために最低ワインで幾ら稼げるかが重要なポイントになります。」
「なるほどね。そうするとある程度の生産量は必要ですね。日本みたいに狭い畑でワインを造るのは不利な訳だね。」
私「1000本しか出来ないけれども、1本1万円で売れれば成り立つとは思いますが…。」
「畑は急に広げられないからそれを目指すしかないんだね。もちろん品質ありきだろうけれど、それだけじゃない部分があるんですね。」
私「こんな事を言うのも何ですが、逆にビックビジネスになる可能性もあります。」
続いてコンダミン・ベルトランの赤。予想を越えるトップ・セラーとなりました!
●バロン・デュ・モンテガード 赤 2013年 シャトー・コンダミン・ベルトラン フランス I.G.P.ドック 750ml 販売価格(税込)1018円
「これ、旨い!」
「スッゴく飲みやすい!」「旨味が優しくて良いね。」
私「アルコール分は12.5%と南フランスにしては低めですが、ワインを調整していません。ですから無理がなく飲みやすいかと。」
「香りはメルロみたいですが、味はメルロっぽくない(笑)。」
家内「シラーとメルロが半々です。もう少し寝かせるともっと溶け込みは良くなるはずです。」
「なるほど味わいはシラー(笑)。」
「シラーとメルロなんてミス・マッチなんだけど…。このワインは塩梅がイイ(笑)。実に自然。」
私「あまり特徴的なワインじゃないんですが、飲み出すといつの間にか1本飲んでしまう良さがあります。味わいやワインのディテイルを語ることに意味がないようなワインなんです(笑)。」
「コスト・パフォーマンスの高さは驚きだよね。ケースで買っても良いですか?」
私「今日はご勘弁を!月曜日にはインポーターさんに追加発注いたしますので…。多分インポーターさんもまだ在庫はあるかと。」
こんなまとめ買いを希望される方が数名。もちろん試飲会のトップ・セラーとなり、途中で完売いたしました。こんな訳で2月の試飲会セットも販売中止となりました。
私、内心モンテガードは赤より白が売れると思っておりました。ですから試飲会中は赤を持ち上げませんでした(笑)。皆さんのワイン選びの確かさを侮っておりました。
お許しください。
休み明けには再販売に漕ぎ着けたい!
さて、メインの前はロゼ
◯シャトー・クープ・ローズ フレミヤン ロゼ 2013年販売価格(税込): 1,782 円
「おっ、懐かしい(笑)。これもマスキューさんの定番でしたよね?」
家内「値段が上がったので扱いを控えていましたが、今回特別にインポーターさんがご配慮してくれました(笑)。」
「おー、アセロラ・ジュース(笑)。でも辛口でしっかりしてる。」
「香りの広がりが素晴らしいよね。別世界にいるような気分になるね(笑)。」
「ロゼって軟弱で甘いイメージがあったけど、これは全く違うよね(笑)。」
「それ、ロゼ・ダンジュだぁ(笑)。飲みやすいけど飽きるんだよねアレ。」
「私、料理の試験でロゼワインの作り方が出て『赤と白を混ぜる』って答えて×貰いました(笑)。このワインはどう造ったんですか?」
私「赤と白を混ぜて造ることはありますから×ではないですよね(笑)。このワインの場合 赤ワインを造る過程で果汁に色が付いたのを見計らって果皮と分離します。プレスせずにロゼ色の果汁のみ抜き取ります。いわゆるセニエ法です。」
「マスキューさん、それって直接圧搾法とは違うんですか?」
家内「はい。直接圧搾法はプレスしますから得られる葡萄果汁の量が多いですが、セニエは自然に抜き取るだけですからいわゆるフリーランのみ。貴重です。」
「一番搾りだけなんですね(笑)。」
「だから雑味がないんだ。」
私「強さはありますが、重くないですよね。」
「シャンパンのロゼが高いのもこの性なんですね。」
私「さすが!よくご存知で!でも、最近はセニエ法でなくてもシャンパンはロゼが造れるように法改正しました。儲けの種を増やしたようです(笑)。」
「このロゼって食べ物に合わしたいですよね。何が良いかな?」
私「赤身の牛肉(笑)!黒胡椒と塩で焼くローストビーフなんか良いですよね。」
家内「一般に魚介類 とくに甲殻類は鉄板ですが、このワインは肉も連想させます。ハム系やチーズもOK。産地のミネルヴァはロック・フォールチーズの原産地でもありますからそれもOK(笑)。」
「お花見行ってサンドイッチ食べながら飲んだら素敵だな(笑)。」
「ハムも生ハムやらパストラミなんか合うでしょうね(笑)。」
家内「このワインは香辛料やハーブのニュアンスがあるからそれを利用すると合わせる料理の幅が広がりますね(笑)。」
さて、これより本日のメインの赤。南フランスのいわゆるビオ・ワインの登場です!
●『カリス』2012年 ドメーヌ・パディエ 南フランス V.D.フランス 750ml 販売価格(税込):2500円
●『プティ・トーロー』2011年 ドメーヌ・パディエ 南フランス 赤 コート・デュ・ルーションA.C. 750ml 販売価格(税込):3610円
「マスキューさんがビオ扱うの珍しいですよね?」
私「はい(笑)。ビオ・ワインって美味しいものはありますが、欠陥の多いワインも多い(笑)。あと馬鹿に高かったり(笑)。なかなか扱えるワインが少ないのです。」
家内「実際完全なビオ・ワインは存在しませんから、ややこしい(笑)。ビオにこだわった訳でなく美味しくてユニークなワインと言うことでチョイスしました。」
「『カリス』うっまーい!果実味も凄いけど、液体自体が美味しい!」
「軽くて飲みやすいけど、凄く強い。飲み込んだ後の余韻が素晴らしい。」
「マスキューさんが良く言う『明瞭で複雑』なワインですね(笑)。それにしても鮮烈。プラムの香りなんだけど色んなプラムが入っている。梅もかな(笑)。」
私「スモモのニュアンスがアクセントになってますよね。あのカリニャンがこんなにアロマティックになるとは!初めて知りました。」
「前に飲んだビオのカリニャンもこんな感じでしたよ(笑)。」
私「おー、良く飲んでますね(笑)!ルーションのあの界隈はゴ-ビーを軸に、ワイン造りのニューウェイブが起きているみたいですね。」
「『カリス』も『プチ・トーロー』もマスキューさんの暮れの試飲会で飲んだカミュのシャルム・シャンベルタンと共通したところありますよね(笑)。」
私「さすが!どちらもフリーランでワインを造ってます。旨味がありますよね(笑)。」
「さっきの『一番搾り』ですか?」
家内「はい。『カリス』も『プチ・トーロー』も醗酵槽に房のまま投入して自然に醪になったものからプレスせずに液体だけ抜き取ります。そしてほぼそれだけでワインを造ります。」
私「余分な抽出はしませんから、雑味がなくクリーン。旨味だけ抽出したようなものです。」
「コストかかっているんですね。」
家内「私逹が習ったワイン造りの鉄則に『良いワインはフリーランだけで造られる。』を地で行ってます(笑)。」
「だから南フランスっぽくないんですね(笑)。黒くない(笑)。」
家内「『カリス』は抜栓して丸1日経って全開ですが、『プチ・トーロー』はまだ開いてない(笑)。でも渋くて飲めないようなスタイルではありません。基本的にどちらも飲みやすいのです。この辺は今風で良いかと。」
「私もビオ・ワイン好きなのでよく飲みますが、バディエのワインは乳酸の香りがしませんよね?」
私「タンクで熟成中に炭酸ガスを注入して劣化を防ぎますから、瓶詰め後にガス臭さが残ったり泡立ったりすることがビオ・ワインにはよくあります。」
家内「実は、このワインも日本に入荷直後は泡立っていました(笑)。半年ほど倉庫で寝かしてようやく炭酸ガスが抜けてから販売となりました。扱いが難しいワインです。」
私「この手のワインは夏場常温では持ちません。28℃を越えたらまずダメですね。『プチ・トーロー』などはセラーで長く熟成させて行く末を見たいワインです。」
「ところでマスキューさん!フリーラン以外のプレスワインはどうするのですか?」
私「ワインに重さを出すために10~20%くらいフリーランに加えることはありますが、昔はプレスワインの大半をネゴシアンに売却していました。あと自家消費用のフィーヌにしたり。」
「今もそうですか?」
私「D.R.C.なんか変わりませんね(笑)。ただ大半の生産者や特にニューワールドの生産者はフリーランとプレスワインを区別なくワインに利用します。特に若い生産者にプレスとフリーランの区別がない人は増えました(笑)。除梗とミクロ・オキシダシオンの普及によりプレス果実を含めてそこそこのワインが出来るようになったからです。でも、致命的に酸がありませんから良いワインとは言えません。」
「たしかにプレス果実も含めてワインが出来れば効率は良いですよね。歩留まりが良くなる。でも、それって品質の向上に繋がらない?」
私「70年代後半のエミール・ペイノーの活躍は除梗することにより、酸が少なく、甘さがあり、すぐに飲めるワインを造り出しましたが、その裏にはプレス果汁を有効利用する効率の良さがありました。もちろん流行に左右されずにクラシックなスタイルを貫いた生産者もいますが。近年はアンチテーゼとしてビオを唄うスタイルも注目されてます。まあ、品質が良ければどうでも良いのですが(笑)。」
ご来店ありがとうございました。
桝久商店 岡本利秋・昭子