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箱根の山は大騒ぎになっていますね。連日テレビニュースに映る大涌谷の蒸気は強まっているように感じます。天に向かって吹き上がるかのようです。大涌谷以外でも噴出によって立ち枯れする樹木も出始めたようです。
ところで大涌谷の草木も生えない荒涼とした岩肌は、近場の我々関東人には見慣れた風景ですが、あれは噴出される硫黄の性。濃度が高くなると人間も呼吸困難になり、死ぬ恐れもある毒です。行かれた方は、腐った卵の臭いを思い出しますよね。昭和40年代の産業道路も似たような臭いでした。
ところで、硫黄は燃やすとSO2になります。そう、皆さん御察しの通り(笑)、いわゆる酸化防腐剤です。ワインを始め、ほとんどの食品や飲料品に使われています。硫黄の殺菌能力を利用した訳です。
考えてみると、温泉涌出地に草木も生えないことから、硫黄が殺菌・消毒作用があると気がつくのはプリミィティブ。ですから、日本酒の蔵でも仕込みが終わった樽を洗浄後、中で硫黄を燃やしてから蓋を閉めたりしてカビが生えないようにしていたそうです。資料では秀吉酒造の文書で江戸初期には確認出来るとか。まあ、こうした硫黄の利用法はかなり時代を遡るはず。
毒にも薬にもなる硫黄なのですが、健康指向の高まっている昨今 有機農法・オーガニック・ビオなど様々なアプローチ・訴求が氾濫しています。SO2の使用量も1リットル中30mmグラム程度が国際標準のようです。この点、フランスなどよりニューワールドの方が進んでいます。旧態然の古い木樽を使うやり方では30mmグラムを達成出来ないようです。ビオやオーガニックを唄ったワインでも100mmグラムを越えるSO2を使用したいんちきな自然派ワインが平気であります。
あとブラインド・テイスティングでもSO2の臭いを熟成香や鉱物臭などと間違ったり(笑)、注意してテイスティングしないと足元をすくわれます(笑)。
日々意識しながら飲む鍛練が必要なのです。